猫にも小言を言いたい。
娘の夢に私が出てきて、
早く寝なさいって言ったそうだ。
他の娘の夢にも私が出てきたそうだ。
その話をする娘が泣くもんだから、思わず私も泣いてしまった。
頑張るぜい。
もともと出歩くのが好きじゃないたちなのですが、
こうも自由が制限された生活を長く続けているとさすがに辛いものがある。
こんなとこ、っていっちゃ失礼ですが、
半径100メートルかそこらの、外気から遮断された空間に、
しかも地面から遥か10階に住まって今日で208日になります。
外の雑菌だらけのおいしい空気を吸ったのは二回だけ。
一泊二日の外泊許可が下りて家にお泊まりしに行った時だけ。
年末から工事していた無菌室が完成し、
さしあたって血小板が少なくて感染リスクが高い人や、
移植を控えた人が優先的に部屋を移動しました。
もともと4人部屋だったところを2部屋つぶして、
2人用の無菌室を2部屋作ったのです。
ここに入ってから一階のコンビニに行くのも禁止されました。
出歩いていいのは病棟の給湯室と、
電話が許可されているエレベーターホールだけ。
日常生活における行動範囲は極端に制限されてますが、
脳みそまで退屈させては辛くなるばかりなので、
ネットを使って読みたい本を手に入れることに情熱を傾けています。
ハッピーエンドの娯楽小説やノンフィクション、
漫画からエッセイなどをバランスよく取り揃えて、
常に数冊手元において、同時進行で読み進めるのがいいです。
読みたい本が積み上がっていると幸せです。
ひとりニマニマしてしまいます。
手元の本が少なくなると危機感を感じます。
先日読んだ移植のマニュアルに、
感染予防のため古本はダメと書いてあって慌てました。
看護師さんもダメって言った。
そんなにばっちいかねぇ。
新品の本で今の読書量を補うなんて大変な家計の負担になるから、
ネット情報なので大いにあやしいけど、
虫干しした本はいいという事にした。
もちろんお医者さんには内緒。自己責任です。
夫に頼んでみたら暇があったらやってくれるとのこと。
ほんと申し訳ない。
私のために、自宅に後から後からどさどさ届く古本を、
庭に出して虫干ししてくれるというのだ。そういう夫なのだ。
この頃欠かさず手元に置くのは旅のエッセイです。
私は旅が好きじゃない。
どちらかというと積極的に嫌い。
父なんてエジプトやカンボジア、スイスだのありとあらゆるところに行ってるが、
なにが面白くていくのか正直理解できない。
外国はまず言葉が通じないのが嫌だし、
治安の悪い観光地でスリに用心したりするのも嫌だ。
なにより汚れたトイレが死ぬほど嫌いなので、
トイレ事情の悪い国はまっぴらごめん。
日本ほどいいところはないと思うが、
その日本だって、べつにどこかを見たいとも思わない。
なんて器のちっさい奴かと、ええ、じぶんでも思いますもの、
笑ってくださって結構。
だけどというか、だからこそというか、旅のエッセイは楽しいね。
自転車で世界を回っている石田ゆうすけさんなんて、
私の代わりに(って訳じゃないけど)盗賊に身ぐるみはがれたりするのよ、
それを私はといえば、病室でパラマウントベッドを37度起こした状態でですよ、
ハラハラドキドキだけを味わうことができるのですよ。
「いや〜わたしじゃなくてよかったよかった」てな具合に。
なんて贅沢なんでしょう。
私の代わりに(決して私の代わりじゃないけど)、
どこかに移動するたびにボッタクリのリキシャとバトルしたり、
いろんな国の空気や暮らす人々の人間性を味わわせてくれる。
さくら剛さんという方にいたっては、
「インドなんて二度と行くか!ボケ!!」という著書を見かけて、
でしょう、でしょう、だからいわんこっちゃない、と思いながらさらに調べると、
「ボケ!」なんて言ってるわりに、
この著者は懲りずに「中国なんて二度と行くかボケ!!」という本も書いている。
「ボケ!ボケ!」言ってるわりにいろんなところに行ってる様子。
旅は道連れ・・・にされたくないな。
旅は行った人の話を聞くのが一番だ。