種を蒔く人



あなたにとって、怖いものはなに?

こどものあたしには、怖いものがいっぱいあった。
暗闇。
お化け。
雷。
ばばちゃんのヒステリーとおとうちゃんのお叱り。
それと、
先生というのはわたしにとって身近な怖い存在だった。

小学校の1年から3年まで習った先生、
もう名前も覚えていない。
多分、あの世に行ってしまわれたと思われる。
特別な思い入れがあるわけでもなく、さしたる印象もなく、
なんとなく三年過ごして分かれた。
たぶん、先方も同じだろう。
教室での先生はやる気がちっとも感じられず、
子どもたちをかわいいとは思っていないふうであったし、
わたしたちもそれが普通だと思っていた。
ときどきヒステリーを起こし、それが女性特有のヒステリーと知らない当時のわたしは、
ひたすら恐ろしくて、いつ怒りだすかびくびくしていた。
その後、4年から6年まで習った先生は、
その薄い関係を補って有り余るほどの情熱を注ぐ、
まことに熱い先生であった。
その熱さを信用し、三年間、必死についていった。
ゲンコツにも耐えた。
これこそ本物の先生だ、そう思わせる勢いと、有無を言わせぬ強引さがあった。
ところが、物心ついてから、
それが単なる暴走ではなかったかと思うようになった。

今の先生方は、良くも悪くも平均的におとなしくなり、
名物先生というような方がいなくなったようだ。
父兄として関わるようになり、少し残念だと思う反面、
それはありがたいことだと考えている。
昔は、当たれば最高の思い出深い小学校生活を送る、
外れれば最悪の小学校生活を送る。
まるで実弾を込めたロシアンルーレットのようなスリルがあった。
しかも担任は、今ほど頻繁に変わらなかったから、
当たり外れが人生の分かれ道というほどの重みがあった。

先生の個性は薄くていい。
きっちり仕事をしてくれれば、それでいい。
子どもとの学校生活を楽しめる人であれば、
それ以上は望まない。
父兄としてはそう考えるようになった。
なぜかというと、個性の強い先生の存在を受け入れる度量が、
子どもにはあっても今の若い父兄にはないのではないかしら、と感じるからだ。
その点、昔の父兄は度胸が据わっていたね。
一歩間違えば暴力教師のような暴挙も、
愛の鉄拳として通用してしまう。
なんだか、恐ろしい時代だったと、今にして思う。

わたしはおとなになってつくづく嬉しい。
小さい頃は、あんなに恐ろしかった先生が、
ひとりの職業人としてみられるようになったからだ。

他にも、怖いものがいっぱいあったけど、
いつのまにか怖くなくなった。

クリスチャンになってからは、占い全般とは縁遠くなり、
同時にお化けや呪いなんかが怖くなくなった。
頻繁にあっていた金縛りにもあわなくなった。

うちの実家の二階はお化けが出るらしくて、
わたしもよく金縛りにあったし、お盆に泊まりに来た叔母も、
なにやら見たと言う。
弟も、そこに寝た時に金縛りにあって、
起きたら自分の手に、誰かに握られた手のあとがついていたと言う。
今も、たまに実家に泊まりに行くけど、
こんなわたしを脅すご先祖様もいなくなった。
この場合、相手にされないというのはまことに気楽である。
この世のものでない方々からの治外法権万歳である。

雷も、唐突に鳴るとびっくりするけれども、昔ほど怖くない。

暗闇も怖くない。

小さい頃は、早くおとなになりたかったので、めでたくおとなになれて感謝である。
ちいさかったころのあたしが予想したとおり、おとなには怖いものがあまりない。
めでたしめでたし。

ただ、問題がひとつある。
そこまでは、ちいさかったころのあたしも予想できなかったのだ。

この辺で止まりたいのだが、それができないということ。
時間は律儀にも、死に向けてどんどんわたしを運んでいき、
しかも、どうやら加速度を増して流れていくようなのだ。
まってくれぇ~、この居心地のいい年の頃を、どうか今しばらく、楽しませてくれ~。
叫んだところで無駄なこと。
今日も一日、最大限に生きるのみだ。

いみじくも、聖書の詩篇で、モーセがこう祈っている。
神から授けられた杖一本で、海を左右に分け、
エジプトから脱出するイスラエルの人たちに、海の底を歩かせた方だ。
その方がこう祈っているというのが興味深いではないか。
「わたしたちの齢(よわい)は七十年。
健やかであっても八十年。
しかも、その誇りとするところは
労苦とわざわいです。
それは早く過ぎ去り、私たちも飛び去るのです。
中略
それゆえ、私たちに
自分の日(寿命の捉え方)を正しく数えることを教えてください。
そうして私たちに
知恵の心を得させてください。」

この世での時間が限られたものであることを、正しく認識して、
しっかりと人生を生きていく知恵を与えてください。
主に与えられた時間を、無駄にせずに、
あなたの御心を少しでも体現できるように、
私を整えてください。
イエス様の御名によって祈ります。アーメン。

ちなみに、今の私が一番怖いのは、父なる神さまのお叱りだ。
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by aikannsya | 2010-05-15 06:33 | キリスト者として
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4人の子どもたちと殿と暮らすクリスチャンです。庄内平野のはじっこから、日々の生活をレポートします。
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